Taste of Tsukuba Project part 4 |
3. 瞬間完了!プリロードセッティングの新アイテム
「パフォーマンスダンパーもセッティングが重要」 |
これまでの記述だと、パフォーマンスダンパーは装着後瞬時に効果を発揮するように思われてしまうかもしれないが、決してそんなことはない。フレームへの搭載位置・ステー形状・ダンパーセットetc、最も効果のある装着方法を模索する必要がある。 更に今回のケースは特殊。ZRX1200Sは装着例が無い上、ましてや新庄号は筑波を57秒台で走るバケモノ鉄フレームネイキッドだ。 ダンパー装着に伴い、サスペンションセッティングをはじめ、タイムUPのみにフォーカスした全体のバランスを取り直す必要がある。 (※ストリート向けに一般販売している車種別のキットは快適性を主眼に、入念にテストしてパッケージ開発をしているのでご安心頂きたい。マシンにきちんと装着すれば、すぐに効果を発揮してくれるゾ!) |

「複雑化するセッティング作業に打開策を」 |
マシンセッティングの変更はひたすらに地道な作業である。
1つを調整してテストして、またそれに合わせて別の個所を調整するの繰り返し。
これはとりわけレースにおいて終わり無き宿命でもある。しかしまだ、進化できる1つのアイデアが眠っていた。 ZRX1200S新庄号のリアサスペンションをリンク化するにあたり、装着位置の関係上サスペンションボディは通常とは上下が逆になっている。これはリンク式のシステム的に理にかなっているが、弊害としてサイレンサーが邪魔になりプリロード調整がすぐにできなくなってしまった。そんな姿を見ていたHYPERPRO開発担当の宇田は元メカニックとしてひらめいた! 「プリロードは調整の要。ツインショックにもエアマチックプリロードアジャスターがあったら素早くアジャストできる」そんなきっかけから生まれたのが・・・ |

「新装備・エアマチック リアプリロードアジャスター」 |
その名の通り、エア圧によりプリロード調整を可能にするシステムである。 | ||||||||
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というように、レンチで作業を行うよりも遥かに速いスピードでプリロードの調整を行うことができる。
これが効果を発揮するのは、テスト走行や予選中でのリセッティングだ。ピット作業による走行時間の消耗を最小限にできるため、
積極的にセッティングを詰めていくことができる。 新庄選手もこまめなピットインを繰り返し、限られた時間でパフォーマンスダンパー仕様ZRX1200Sのセッティングを仕上げ直し、 先述の57秒台を叩き出したのである。 |
「エアマチック=空気圧式の最大のメリットは、セッティングの正確性&確実性」 |
なお、油圧式プリロードアジャスターも迅速にセッティング変更を行える機構だ。
車体の奥まった位置に装着されるモノショックであれば、その優位性はさらに高い。一方の空気圧式はというと、 セッティング時にポンプを接続してエアを圧送するという工程が都度追加になるため、迅速性では油圧式に軍配が上がる。 では、空気圧式のメリットは何なのか。それはセッティングの正確性である。 そもそも油圧式は機械的な固定方法ではない。常に充填されているオイルの圧力によりプリロードを維持しているため、 スプリングの反力やサスペンションの温度などにも影響され、僅かではあるが変化が生じる。 また、調整ノブ~ホース~サスペンション本体間のオイルラインいずれかに破損などの障害が発生すると、プリロード機能自体が失われる危険性も内包している。 一方空気圧式はというと、通常時プリロードを維持しているのはプリロードナット。機械的固定のため、セッティングが変化してしまう懸念、或いは故障の危険が著しく低い。空気圧機構が介在するのはセッティング変更時のみなので、レースでの確実性という点においても、空気式に軍配が上がるのだ。 とはいえ、これはレースという特殊な環境に限っての話。まずもって、空気圧式は短いサイクルでオーバーホールメンテナンスが必要だ。頻繁なセッティング変更を、それも出来るだけ短い時間で求められ無い限りはコストに見合った装備ではない。 とはいえとはいえ、空気圧式の作動ギミックと「パシュゥッ!」という圧解放時の小気味よいサウンドはバイクファンの心をくすぐるのも事実!因みに現在、製品化に向けた動きもありますので、皆さまこうご期待! (リアショックへの組み込み&メンテナンスには専門知識と設備が必要) |

ベースパフォーマンスアップの感触は良好、あとはコースレコード樹立に向けて邁進するのみ。
立ちはだかるは復活の鉄隼・加賀山選手か、はたまた復活のH2R・光元選手か・・・と思いきや、今大会には新たなライバルが登場。 パワービルダーからエントリーする渡辺一樹選手だ。加賀山選手とは一時期、監督・ライダーの間柄。 新庄選手にとっても長いこと全日本の先輩・後輩と、非常に縁深いライダーが駆るのはZ1000にキャブチューンのZX-10Rエンジンを積んだバケモノマシン。 ライダー×マシンの組み合わせ的に流石に賞典外出走扱いとなったが、これは一筋縄ではいかなそうな予感・・・ |