Taste of Tsukuba Project
 

 
筑波サーキットで年2回開催される、鉄フレームの祭典「テイストオブツクバ」(以下TOT)。
本プロジェクトは、この大会の最高峰カテゴリー「HERCULES(ハーキュリーズ)クラス」で活躍するオートボーイJ's 新庄雅浩選手の『最新のタイヤに追従するツインショックを作りたい』という思いをHYPERPROで叶えるためスタートしました。
ターゲットとなる2018年11月11日の“KAGURADUKI STAGE”までどのように仕上がっていくのかをレポートしていきます。
 
 
 
新庄 雅浩 選手

千葉県松戸市出身のプロレーシングライダー(兼プロダーツプレイヤー(!))。
MFJ全日本ロードレース選手権や鈴鹿8耐、ル・マン24時間などに参戦。現在はTOTの他、中国で行われるパンデルタ選手権等で活躍中。
TOTでは「オートボーイJ's」のライダーとしてZRX1200Sを駆り、2016~2017年にかけてHERCULESクラスで3連勝。
2018年5月の“SATSUKI STAGE”では2位を獲得。 2017年からはアクティブのプレスフォーミングスイングアームを採用し、コースレコードを樹立しています。

<サポートパーツ>
HYPERPRO
・リアショック
・ステアリングダンパー
GALE SPEED
・アルミ鍛造ホイールTYPE-GP1S
・Elaborateラジアルマスターシリンダー VRE ブレーキ/クラッチ
ACTIVE
・ハイスロットルキットEVO2
・プレスフォーミングスイングアーム
インプレッションはコチラ
build a line
・ブレーキホース

 

アクティブ サスペンション事業部  宇田 知憲 (ハイパーうだっち)

株式会社アクティブでオランダのサスペンションブランド「HYPERPRO(ハイパープロ)」を専門に扱う。
香川県出身で10代からオートバイに親しみ、これまでに乗ったオートバイは500台を越える。
オランダのHYPERPRO本社での研修を経て、現在は欧米向けに作られたHYPERPRO製品を日本人のために再セッティングする「HYPERPRO JAPAN SPEC」の展開に力を入れています。
また、サスペンションだけでなくステムやスイングアームの開発にも参加。
車両全般に関する豊富な知識と経験を生かし、本プロジェクトを全面サポートします。

 
 
 

 
 
2018.11.07 レートを変更したスプリングでの初テスト。
Report.3

第一回目の走行テスト( Report.1参照 )にて新庄選手から要望があった“高いレートでプリロードをかけないセッティング”を試すべく、HYPERPRO本社(オランダ)より取り寄せた高レートスプリングを組み込んでの走行テストが始まった。 用意したスプリングは同じレートで3セット。スプリングには必ず“個体差”というものが存在するのだが(Report.2参照)、トップクラスのレーサーはこのわずかな個体差”を武器にしてセットアップを行なっていく。
この3つのスプリングの中から、マシンやタイヤの特性に一番適したスプリングを選定することが本テストの目的の一つでもあった。


“サスセッティング”という言葉は車体姿勢やプリロード調整、減衰調整を連想 しがちだが、高いレベルになればなるほどその意味はどんどん深くなっていく。
一番の勘所となるのはスプリングの動き。トップライダーの世界ではスプリング レートの違いによる数mmのストローク差によって走行姿勢が変化し、旋回能力 やタイヤの推進力に影響を与えてしまうためにスプリング自体の厳密な選定が必 須となる。
今回はリヤショックのスプリングに特筆しているがもちろん“旋回のきっかけとなるフロントをどう動かすか”にも大きな要素となる。


全てのパーツのパイプ役となるサスペンション。エンジンの仕様やホイール、タイヤ、ライダーのライディングスタイルなどの環境に合わせて“サスセッティング”は無限にあると言える。この中でのベスト、つまり一番タイムを縮めることができるセッティングを探し出す。

 

現在、走行テストは3回中2回が終了したところである。フィーリングは好感触で、タイヤを押し付ける力、切り返しの対応力、スライドをコントロールする感触など、新庄選手が理想とする動きにより近づいてきているとのこと。また、アクティブがサポートする“しなり”と“剛性”を併せ持つプレスフォーミングスイングアームの性質をより一層引き出すリアショックになってきている。
 

レース直前の第3回目の走行テストでは、細かく車体セッティングを詰め、それに新庄選手の乗り方をマッチングさせていく。
乗り心地を度外視し、“タイムを出す”ためだけに仕上げられるマシンは、テイストオブツクバで“ツインショックの日本最速車両”に輝くのだろうか?
 

ターゲットとなる2018年11月11日の“KAGURADUKI STAGE”にて、本プロジェクトの結果をご期待ください。

 
2018.10.02 HYPERPROリアショックの解析とセッティング。
Report.2

前レポートに記載したリアショック試作第一号について、完成までのセッティングの様子をご紹介します。
まずは新庄選手がもともと使用していたリアショックの仕様を確認。サスペンションロガーを使用し、性能を細かく分析します。

サスペンションデータロガーとは

フロントとリアにそれぞれ装着して走行することで、ストローク量はもちろん、スロットル開度、エンジン回転数、空燃比など、車両のさまざまな走行状態を計測することが可能。
フロント
リア
 

このデータロガーによって計測されたデータの一部が下記のグラフになる。

 

スプリングレートやダンパーの仕様によるシュミレートは基本ですが、重要なのはライダーが実際に走行した時に、ライディングの癖やサーキットの環境を含めて狙ったセッティングが発揮できるかどうか、ということです。
そのためにはロガーでブレーキ、バンク角、アクセルワークなどの加減速によるサスペンションの動きを可視化し、その情報をベースにテスト走行を繰り返してライダーの望む形に作り上げていきます。

大切な要素となるスプリングレートと減衰力のバランスを測るには「ショックダイノ」を使用。減衰力を構成する圧側(コンプレッション)と伸び側(リバウンド)の強さを数値化し、スプリングとの相性を繰り返し走行してテストします。

ショックダイノ
 
こちらは「スプリングテスター」と呼ばれる測定機器です。
スプリングも、同じ製品であっても製造工程による“個体差”があります。
スプリングに負荷をかけ、ストロークごとにその動きを数値化し、データとして保管しておきます。
各公差を持ったスプリングの選定もセッティングのひとつです。
スプリングテスター
 
“減衰力が高く、スプリングレートが低いサスペンション”が良いのか、“減衰力が低く、スプリングレートが高いサスペンション”が良いのか。それは、データロガーによる数値解析と実走テストを繰り返し導くしかありません。
宇田は長い時間をかけてプロトタイプとなるリアショック第一号を完成させました。
(新庄選手のインプレッションは前記事参照)
 
2018.8.30 HYPERPROリアショックを装着した試作車両完成。走行テストにてインプレッション。
Report.1

「まずは新庄選手とマシンに合うサスペンションが必要。」
そう語るのは弊社のHYPERPROサスペンション開発担当 宇田。

どれだけ機能的に優れているサスペンションであっても、必ずしも新庄選手の“理想のサスペンション”とはなりません。カスタムパーツを変更するということは、トップレーサーの中ではかなりハードルが高いもの。
これまでの“経験”が染み付いているため、急にフィーリングが異なるサスペンションを装着してしまうと、逆にタイムを落としてしまう可能性が高くなります。

そのため、まず基礎となるHYPERPROのリアショックの仕様をスダンダードなものから大幅に変更。
今まで新庄選手が使用していたサスペンションの仕様を徹底的に計測し、その結果をHYPERPROのサスペンションに反映させました。

そこから、宇田が試走とセッティングを繰り返し、前サスペンションの良さを継承したまま、新庄選手にさらに合うようにリアショックをカスタマイズ。
これは、宇田が今まで200台を超えるサスペンションセッティングの経験から導き出した経験則によるものです。
こうして、出来上がった試作第一号は、新庄選手の乗るマシンに装着され、第一回目のテストを迎えます。


<  第一回目の走行テスト 新庄選手のインプレッション >
第一回目の走行テストを終えましたが、感触としてはかなり良好です。
狙ったとおりの動きにかなり近づいています。
プリロードを15mmかけているにもかかわらず、入り口の固さが少なく減衰も良い感じです。
ハイコンプなども機構がしっかり機能しているのを感じています。

ただ、前に装着していたサスペンションの時からの課題でもある、「レート不足」を解消したいです。現状は低いレートでプリロードをかけている状態ですが、高いレートでプリロードをかけないセッティングを試してみたいです。

このインプレッションを受け、現状組み込まれているスプリングよりレートの高いスプリングを組み込むために、HYPERPRO本社(オランダ)に希望のスプリングを注文対応。10月の走行テストに向けて、さらにセッティングを改良していく。